手掌にVascular Spiderを合併せる手掌紅斑の1例

A CASE OF PALMAR ERYTHEMA ASSOCIATED WITH VASCULAR SPIDERS ON THE PALMS

I．緒言

　1926年Lane^1）は遺伝性，家族性に発現した手掌紅斑を経験しErythema palmare heredita-riumという名前で初めて報告したが，之とは別に肝疾患，結核，ロイマチスムスその他の疾患や正常妊娠に際して手掌紅斑が単独に，時には足蹠紅斑又は屡々他の部位にVascular spider （以下V．S．と略記）を合併して発現する事が知られている。V．S．は殆んどすべて上半身に発生するが，肝硬変症患者に手掌紅斑（以下E．P．と略記）足蹠紅斑及び手掌にV．S．が同時に合併した報告例は見当らない。最近著者はかかる1例を経験したので報告する。