カラーグラフ 癌の典型的内視鏡パターン・5
大腸癌の典型的パターン
武藤 徹一郎
1
,
上谷 潤二郎
1
,
沢田 俊夫
1
1東京大学医学部第1外科
pp.154-155
発行日 1980年2月20日
Published Date 1980/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207367
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大腸癌の内視鏡所見は早期癌と進行癌,隆起型と潰瘍型という2つの相対するカテゴリーに分けて把握しておくのが,臨床的に便利である.早期癌とはここでは粘膜内(m癌),粘膜下層に浸潤する癌(sm癌)を指すことにする.
1.早期癌:大腸の早期癌のほとんどすべては隆起型で,内視鏡的には良性腺腫との区別はつかない(図①〜④).癌が腺腫の1部に認められることが多いので鑑別できないのは当然であろう.癌の一部に腺腫の遺残が共存しているような場合(adenoma in carcinoma)には,ポリープは全体として混濁色調を呈しており,表面がノッペリしている(図③,④).内視鏡的所見,生検の結果がどうであれ,癌の有無とその粘膜下浸潤の有無に関する正しい情報を得るためには,内視鏡的ポリペクトミーによる摘除生検が不可欠である.ポリープ状癌の大きなものは内腔を塞いでしまうため,その全貌を握ることが不可能である(図5)このタイプの癌で進行癌はほとんどないと考えておいてよい.
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