カラーグラフ 臨床病理シリーズ・24
Buerger病の術中所見と病理組織学的診断
三島 好雄
1
,
大橋 重信
1
,
太田 郁朗
1
,
小林 宏
1
1東京大学医学部第1外科
pp.848-849
発行日 1974年7月20日
Published Date 1974/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206069
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一般にBuerger病では四肢動脈閉塞が前腕・下腿以下などに広汎に末梢性に存在するとされ,血行再建の適応となるものが少ないが,時にはskip lesionとして比較的高位に限局した病変を有するものがみられる.このような症例では病変部の動脈をみると,壁は肥厚して瘢痕性となり硬い.内腔を開いてみると,壁の肥厚が著明であり,そのために内腔は高度の狭窄状態となっている.内膜には高度の肥厚をみるが,潰瘍や凸凹不整をみることはなく,粥状変性をみることもない.ただ血管壁の変化がつよいので血栓内膜摘除を正しい面で行なうことが極めて困難であり,一般に再建手技としてはバイパスあるいは切除後代用血管移植を行なう方が容易である(①,②).また,急性増悪例ではときに主幹動脈に主に二次血栓形成により,閉塞をみるものがあり,このような例では動脈壁の変化は少なく,血栓摘除が可能であるが,末梢のrun-offのよいものでないと効果を期待し難い(③,④).
一般に血行再建のさいの生検材料や切断肢における動脈の組織学的所見は,(1)動脈壁の変化が少なく,血栓の器質化と血栓内に血管新生を伴うもの,②内膜肥厚の著明なもの,(3)血栓は器質化し,動脈壁とその内外に血管新生をみるもの,(4)器質化した血栓内に弾性線維増殖と内弾性板に断裂増生をみるもの,(5)動脈壁と血栓内に線維形成・血管新生・円形細胞浸潤をみとめるものなど,に分類される。
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