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特集 外科と大腸—炎症性疾患を中心に
大腸の非特異性疾患—とくに肉芽腫性大腸炎(大腸Crohn病)を中心に
Crohn's disease of the colon
土屋 周二
1
Shuji TSUCHIYA
1
1東京大学医学部第1外科
pp.1699-1710
発行日 1972年12月20日
Published Date 1972/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205718
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はじめに
外科的治療の対象となる大腸疾患のなかで重要なものに慢性炎症性肉芽腫性疾患がある.それらは炎症性腫瘤,狭窄,潰瘍などを形成し,臨床的には便通異常,下血,腹痛などを主症状とし,癌や他の良性疾患と鑑別を要するものが少なくない.このような疾患を示すと大略第1表のようで,原因の明らかな外傷,特異性・非特異性感染症と現在のところ原因不明なものに大別できる.後者の代表として慢性非特異性潰瘍性大腸炎(単に潰瘍性大腸炎といわれる)があるが,最近10年余りのうちに非特異性肉芽腫性大腸炎または大腸Crohn病といわれる疾患が独特の病像を呈する一疾患単位としてみとめられ,その治療の適応,長期間後の効果などについての検討21)44)もようやく行なわれるようになつた.わが国におけるこれまでの報告例や臨床的病理学的検討は比較的少なかつたが,ここに症例と内外諸発表をもとに本症の特徴を中心にのべてみたい.
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