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特集 日常外科の総点検・Ⅱ
ショックに対する考え方と治療方針
Current concept and management of shock
隅田 幸男
1
Sajio SUMIDA
1
1国立福岡中央病院心臓血管外科
pp.641-647
発行日 1972年5月20日
Published Date 1972/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205605
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はじめに
Shockに対する考え方と治療方針に関してここで率直に簡明に述べてみようと思う.というのは,shockに関する限り,すべての考え方が治療法そのものに直結しておらなければ役に立たないからである.したがつて学問的にはものすごく面白くても単に科学者の興味の段階にあるものは本稿ではオミットした.たとえば,著者の嫌いなhomeo-stasis(恒常性)という言葉がある.出血すれば創口で血液は自然に凝固して止血機構が働く,そして細胞内や組織間の体液は血管内へ移行して細胞外液を補う.このようなのんびりした傍観者的な考え方ではshock患者は救えない.創口を押さえて止血する,その際ガーゼを大量にあてるとスポンジ代りになつて血液を吸引するから少量あてて押える.虚脱した静脈はいくら駆血帯をして怒張させようとしても無駄であり,盲目的に針を刺すのはやめにして静脈切開を行ない輸血輸液を行なう,その際にはvital signsが何よりも大切でありCVPをあわせて観察し,過剰輸血輸液を予防する,万一心不全を起こしたら起坐位で循環系の負担をカバーしながらdigitalizationを行なうこと,という具合に考えてゆくべきであるとするのが本稿の主旨である.理屈はさておいたのである.
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