トピックス
消化管の吻合法について
掛川 暉夫
1
1国立東京第二病院外科
pp.486-487
発行日 1971年3月20日
Published Date 1971/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205329
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科学の目覚しい進歩により過去において,すでに解決されたと思われていた事柄に対しても新たな疑問が投げかけられ,全く逆な解釈をされることが少くない.特に科学的に単純に割切るにはあまりにも複雑な生体を対象とする医学においてはよりいつそうの感が強い.近代外科学史上最も輝かしい成果の一つといわれている消化管吻合手技についても同様なことがいえる.消化管吻合は1810年代Travers等の腸管創の治癒は漿膜面の接合が重要であるという基礎的研究をもとに1820年Le-mbertがSeromuocular invesion sutureを行なつたことに初まり,その後CzernyがLembert縫合に粘膜縫合を加えたいわゆるCzerny-Lembertの二層吻合,さらにはAlbert-Lembert法による二層吻合が行なわれるようになり現在ではこの吻合法が最も普遍的な消化管吻合法として用いられていることは衆知のところである.しかし現在なお消化器外科において,吻合部縫合不全,および狭窄は術後の手術死亡率,さらには予後におよぼす影響はきわめて大きく,現在なおこれらに対する対策が消化吸集問題とともに消化器外科における大きな課題の一つとなつている.すなわち吻合法に関しては連続吻合法,結節吻合法,または器械,接着剤にする吻合法,吻合材料としては絹糸,クローミック腸線,ナイロン糸またはクリップ使用等の種々検討が行なわれている.
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