グラフ紹介
西ドイツの新しい救急医療活動—フランクフル卜市Notarztwagen-System
鈴木 又七郎
1
1東京救急病院協会
pp.855-857
発行日 1970年6月20日
Published Date 1970/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205131
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西独フランクフルト市で,新らしく試みられたN.A.W.S.を紹介する前に,少しく述べておきたいことがある.つまり,傷病者の救急輸送と救急医療が調和された運営を実現するために,これからの救急体制をどのように進めたらよいだろうか? という問題である.考えてみるとこれには二つの現実の問題に焦点をあわせることができると思う.
まずその第1は,次々に誕生する新興都市,しかもその都市が東京と同じ轍を踏んで,過密都市への形態を辿り,激しい人口集中は反動的に,都市周辺の過疎地帯を出現してゆく.こうした都市構成に対応する救急体制の基礎的編成が重要課題になつてくる.率直にいつて,新興都市の都市化に応じた救急体制が,他の行政より遅れ取り残されているのが実状であろう.これというのも,乏しい市町村の財源,殊に薄弱な消防予算から捻出される,消防救急隊(救急業務)の運営に到つては,すでに限界に達しているといえよう.それで救急体制弱体化の補充強化は,まずもつて思い切つた国の財政援助と,現地各界の理解ある協力が発展に導くひとつの道であると考えねばなるまい.さて第二は,都市中心地域の救急医療機関の配置状況と,その周辺では相当の格差が実証されている,過疎地帯の救急体制の劣勢は,実に覆うべくもない.ことに山間僻地を貫通してゆく,高速道路の救急体制に到つては,関係各都市は積極的にこの問題をとりあげて,整備強化を急がなければいけないと思う.
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