Japanese
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特集 肝腫瘍外科の課題
肝癌の診断—切除可能性を中心に
Diagnosis for resectable hepatoma
菅原 克彦
1
,
大野 博通
1
,
河野 信博
1
,
柏井 昭良
1
Katsuhiko SUGAHARA
1
1東京大学医学部石川外科
pp.1521-1526
発行日 1967年11月20日
Published Date 1967/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204450
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はじめに
肝癌の確定診断が得られたときは,すでに切除可能の時機を逸していることが多く,最近の厚生省統計1)では,肝癌による死亡者は胃癌についで第2位となつている現状である.胃癌のように早期に診断することが可能となれば,肝癌の場合も術後5年生存率が9割前後という早期胃癌の治療成績に近づくことは夢ではなくなるであろう.病勢が進まない早期に,肝癌であるという診断が得られるようになれば,肝癌も病理学者の領域から外科治療の対象に十分になり得るであろう.現在のところ,一般胃癌術後5年生存率に近い21.4%の肝癌治療成績(術後5年生存率)を得ているのは,T.Y.Linのみで,他はいちじるしく悪いようである.
しかし,肝癌の病像を仔細に検討することによつて早期に診断の足がかりを得,治療成績の向上を図ることは可能であると考えられ,本稿では重点的に,切除可能性を中心に疑診から確診への過程についてのべたい.
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