トピックス
急性膵炎における神経因子の再認識
尾河 豊
1
1東京大学医学部第二外科
pp.537
発行日 1967年4月20日
Published Date 1967/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204284
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急性出血性膵炎の成因
これについては,種々多数の実験的作製法にもとづいた学説と推論があるが,いずれもいまだ結論を得ていない.それはいずれもが実際の膵炎の成因の一部を占めていると考えられるからである.成因の一つとして膵臓の血流障害がその根底としてあり,さらに膵動脈周囲の神経叢,腹腔神経叢などを介する異常な刺激が血流障害を促がし,膵炎の発生に大きな役割を果していることは,これまでもいくつかの文献の支持がある.すなわち,腹腔神経節の化学的(クロトン油による)ないし持続的電気刺激により,広汎性肝壊死とともに急性出血性膵炎が発生する1).さらには上下膵十二指腸動脈周囲神経叢の,化学的,電気的刺激で急性出血性膵炎が発生する2).膵管内に胆汁を注入,主膵管を結紮すれば,100%に急性壊死性膵炎が起るが,同時に腹腔神経節に電気刺激を行なえばより早期に,より高度に壊死性膵炎が成立する3).また膵動脈に水銀を注入すれば,無菌性出血性膵炎を発生するが4),同時に植込み式持続的電気刺激Pacerにより,膵十二指腸動脈の周囲神経叢刺激を行なえば,より早期に出血性膵炎の発生をみる.
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