Japanese
English
特集 術後感染症
肺癌における術後感染症
Postoperative Infection in Pulmonary Cancer
篠井 金吾
1
,
早田 義博
1
,
於保 健吉
1
,
林 源信
1
,
河村 一太
1
,
吉田 知司
1
,
斉藤 雄二
1
,
菊田 一貫
1
,
千葉 彰彦
1
,
辻 啓次郎
1
,
仲本 嘉見
1
,
清水 正男
1
Kingo SINOI
1
1東京医科大学外科教室
pp.861-866
発行日 1965年7月20日
Published Date 1965/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203663
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近年,外科的肺疾患の中で結核や肺化膿症が下降線をたどるのに反して肺癌患者の増加はわが国においても欧米諸国と同様に顕著であり,従つて肺癌の手術例も増加し,その予後特に5年以上の生存率も種々な角度から十分に検討され長期生存例も得られるようになつた.然るに,その反面未だ手術死亡および術後合併症も少なくない,これは肺癌が他の肺疾患に比して老人性疾患であることにも一因がある,肺癌において,早期死亡例を検討すると,術後の肺炎,気管支炎,気管支瘻および膿胸等の術後の肺および胸腔内感染と手術創の感染とによる合併症があり,これらは他の肺疾患の場合と全く同じである.
しかし,最近術後の感染症は化学療法の発達や麻酔技術が進歩し,手術前後の管理の向上と相俟つて,手術合併症も減少の傾向を示しているが,その反面,悪性腫瘍に対しての術前および術後の照射療法が普及され,手術適応範囲の拡大が計られ,肺癌においても近時術前照射の症例が増加し,その結果,副作用として術後の気管支断端移開による気管支痩の併発をみた症例等の報告が散見され,その他手術創の治癒遷延や皮膚の放射線潰瘍などが懸念されている.また開胸手術後の感染に関連して起炎菌の耐性の問題も起こり,その予後および治療も複雑性を増している.
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