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小腸カルチノイド
pp.1189-1191
発行日 1962年11月20日
Published Date 1962/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202997
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Mayo Clinicの小腸カルチノイド209例の観察.男は女より2倍多い.50歳以上がふつう.剖検数に対する頻度は0.65%だが,小腸の腫瘍では最も多く28%,ことに回腸ではその腫瘍の46%を占める.回腸終末部に最も多いといいうる.原発巣は直径2.0cm以下の小腫瘤が圧倒的に多く,また小腫瘤ではほとんど転移を形成しない.しかし直径3cm以上の腫瘤はすべて転移をともなつている.また小腸カルチノイドは単発でなく多発または他種の腫瘍を合併することが多い.総数の29%は多中心性にカルチノイドが多発し,おなじく29%は他種の腫瘍を合併した.そのうち結・直腸癌,胃癌,乳癌,肺癌なでが多かつた.カルチノイドは剖検で偶然発見されたものが大部分で,症状は腸間膜浸潤,瘢痕性狭窄が主になる.したがつて初めは間歇性の通過障害・腹痛・下痢・嘔吐・体重減少が主徴で,レ線学的に診断しえない.長い間の通過障害の後に悪性腫瘍の特徴をあらわし,そうなつて初めてカルチノイド特有のホルモン症状があらわれるから,これは早期診断の役には立たない.悪性化しない時期の手術可能カルチノイドの予後はきわめて良い.腸間膜・肝などに転移があつて剔除できなくても,腸の通過障害さえ除去すれば,きわめて長い間生存しうるものである.カルチノイド特有の症状は14例にみとめられた.発病頭初から転移死まで追及しえた28例の平均生存年数は8.1年であつた.
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