Japanese
English
特集 吐血と下血
症例
患者血清中に発見した抗M正常抗体について
On the anti-M natural Antibody found in the Serum of a Patient
田中 明
1
,
橫山 三男
2
,
堀江 茂
3
1千葉血清研究所血液銀行
2東京医科歯科大学法医学教室
3字都宮済生会病院外科
pp.993-996
発行日 1956年12月25日
Published Date 1956/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201900
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1928年Landsteiner及びLevineがMN式血液型を発見し1),凡ての人血球は,従来のABO式血液群とは無関係にM型,N型及びMN型の3種類に分類されることを報告した.其の後ClausenはMN型の不適合輸血によつて抗M又は抗N免疫抗体が生ずることはないと報告した2).井関等は正常家兎血清中に抗N抗体を発見し3),更に正常人血清中にも抗M抗体を発見した.次いで欧米において,正常人血清中に,抗N正常抗体を発見したという報告が出され5-7),吾国においても,飯島及び関谷が抗M正常抗体について報告した8,9).特に飯島は輸血により抗M免疫抗体が出来て,それが輸血副作用の原因になり得ると報告している.吾々も,1例の患者に,かなり高い力価を有する抗M正常抗体を見出したので報告する.
患者は既婚婦人,38歳.昭和29年8月肺結核の診断で,肺葉切除術をうけるため宇都宮済生会病院に入院した.現疾患以外に特記すべき疾患にかゝつた事はない.輸血をうけた事はなく,流産も早産もない.子供は3人で健在している.夫も健康である.兄弟は1人発疹チフスで死亡した以外は,現在3人健在である.
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