心臓外科に関するシンポジウム
先天性心臟異常の診断
磯田 仙三郞
pp.285-288
発行日 1954年5月20日
Published Date 1954/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201427
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先天性心臓異常の病型を臨床上正確に診断する事が従来頗る困難であり且つ診断を下し得ても治療の方法が無かつた為に病型診断には余り努力が払われなかつた感がある.然るに近来心臓手術の発達に伴い先天性心臓異常の病型にも外科的療法が行われる様になつたので心臓異常の病型診断を正確に行う必要を生じて来た.従つて其診断法も従来とは異り種々なる検査方法を行い其諸成績を参照して病型を推定しなければならないようになつて来た.今こゝに先天性心臓異常の病型診断の根拠となるべき諸事項に就いていさゝか所感を述べようと思う.
先天性心臓異常の診断には先ずどんな種類があるかを念頭に置く必要があるのでこれから述べる.抑も先天性異常には種類が頗る多く単一異常から複雑異常に至る迄多種多様の異常型がある.然し此等を整理して考えれば単一型と混合型に二大別する事が出来,一定せる単一型が幾つか合併して混合型をなして居る.単一型の主なるものとしては心房中隔欠損乃至卵円孔開存,心室中隔欠損,肺動脈狭窄乃至閉鎖,大動脈狭窄乃至閉鎖,ボタロー氏管開存大血管転位大動脈弓又は大静脈異常,総動脈管遺存等である.混合型には単一異常の混合仕方に依て様々の病型をなす.例えば心房中隔欠損と心室中隔欠損の合併卵円孔開存と肺動脈狭窄の合併,或は肺動脈閉鎖と大動脈転位等は二つの合併である.
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