Japanese
English
症例
肩胛轢音症の1治驗例
A Case of Shoulder-Crepitation
惣路 照通
1
,
井上 作藏
1
Terumichi SORO
1
,
Sakuzo INOUE
1
1岡山大学医学部第1外教室
1Department of Surgica1 Clinic, School of Medicine Okayama University
pp.211-212
発行日 1954年4月20日
Published Date 1954/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201410
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- Abstract 文献概要
肩関節運動によつて,異様な音響を発生するものを,その症候から肩胛轢音症と総称している.この様に肩関節がゴリゴリと異様な音響を発生するということは,吾々医師がよく相談をもちかけられるものであるが,肩関節運動により異常に高音を発生するものは比較的稀であつて,これは肩胛骨と胸廓との間で異様な轢音を発生するものであり,その発生原因として種々なものがあげられている.この疾患については,1867年,Bolnet etDemarqayが巴里の外科学会に於て報告したのを嚆矢とするが,その後1873年,Ga1vagniが1例の解剖例と3例の患者についてBologna医学会に於て発表している.それ以来,この発生原因については種々の研究が行なわれ,現在では次の様な事項が原因としてあげられている.(1)肩肝下筋粘液嚢の疾患.(2)鋸筋下粘液嚢水腫.(3)彎曲肩胛骨,(4)肩胛骨上内角の外骨腫(Grün—feld1)),(5)肩胛下筋の萎縮(Küttnea2)),(6)後鋸筋の外傷性胼胝(Eden),本邦に於ては,1928年,名倉3)は右肩胛骨外傷後の本症を報告し,更に1940年,川村4)は右胛骨上内角より発生した骨腫を認めて,これを切除することによつて全治せしめている.又同年,長岡は肩胛骨下の粘液嚢炎によつて起つた本症を報告している.私達は最近本症に属する1例に遭遇し,手術により全治せしめたので茲に御報告する次第である.
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