Japanese
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特別講演
外科集談会第500回記念講演
Speach in the 500th Meeting of the Surgical Conference
塩田 廣重
1,2
Hiroshi SHIODA
1,2
1東京大學
2日本醫科大學
1Tokyo Univ
2Nippon Medical College
pp.1-5
発行日 1952年1月20日
Published Date 1952/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200951
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昭和16年6月20日こゝ日本医師会館講堂に於て本集談会の第400回が開催された際,故近藤先生及び故茂木教授と共に本会の歴史に就て話をしてから早くも10年を経過し,今日茲に第500回を迎えたに就き,また私に何か話を致すようにとのことでありますが,過去の歴史や思出は大体前回に話し盡したことでありますから,今日は取り止めもない漫談を試みて責を塞ぎたいと存じます.御容謝を願ます.
只今から考えますと,この10年は誠に夢の間に過ぎ去つたようにも思えますが併し我邦開闢以来この10年間に起つた程の大事変に遭過されたことは嘗てなく又今後も再び起るとは考えられないところの眞に空前絶後の出来事のあつた10年でありまして,よくも生きてこの時代を経驗したことゝ不思議にも考えられ驚くの他ないのであります.而してこの10年の内,前4年間は無智頑冥なる指導者によつて誘発続行された不名誉極まる戰爭によつて我邦の大部分の財産と夥しき人命とを全世界に対する信用と共に失つて民衆は塗炭の苦みに陷り遂に昭和21年8月15日の無條件降服の御勅詔を血涙を以て拜聽しなければならぬ境遇に追落されまして,間もなくミズリー艦上の降服調印となり,爾来6年間今日尚屈辱的な虜捕生活を営みつゝあるのであります。尤も斯様な仕儀に立至りました責任の一部は私共各自が無智であつたり怯懦であつたりした爲として負わねばならぬその報として堪えつゝあるのであります.
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