書評
坂井建雄,河田光博(監訳)―プロメテウス解剖学アトラス 頭頸部/神経解剖―第2版
近藤 信太郎
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1日大歯・解剖学
pp.811
発行日 2014年7月20日
Published Date 2014/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105130
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『プロメテウス解剖学アトラス』の第3巻「頭頸部/神経解剖」の第2版が刊行された.初版は「頭部/神経解剖」となっていたが,改訂に伴って頸部が第3巻に含まれることとなった.頭部と頸部が同じ巻となったことは歯科関係者からも歓迎されるところである.顎運動に関する筋を学ぶ場合は咀嚼筋群と舌骨上・下筋群が同じ巻に記載されているほうが便利であるし,歯科領域の動脈系は頸部からたどったほうが理解しやすい.初版よりも格段と使いやすくなったと感じる.
本書の特徴はアトラスと教科書の利点を兼ね備えたところといえよう.書名は解剖学アトラスとなっているが,通常のアトラスよりも記載に力を入れている.精緻な図と明解な文章は相補的に機能しており,人体構造を深く理解することができるように工夫されている.SobottaやPernkopfのような精密な解剖図を世に送り出してきたのはドイツの伝統であろう.その伝統にコンピュータ技術を融合させて完成された本書の図は精細で美しい.図の脇にある説明文は短い中にも関連する図を示し,その図を順に追うことにより理解が一層深まるように構成されている.頭頸部に関しては,骨,筋,脈管,内臓といった系統解剖の後に,局所解剖と断面図が掲載されている.各器官系の系統的な理解と局所の器官系の関係を同時に記載している点は本書の魅力といえよう.
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