特集 炎症性腸疾患のすべて―新しい治療戦略
扉
渡邉 聡明
1
1東京大学医学部附属病院腫瘍外科
pp.1225
発行日 2012年10月20日
Published Date 2012/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104244
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炎症性腸疾患の内科的治療は,分子標的治療薬である抗TNFα抗体製剤(インフリキシマブ)などをはじめとする様々な治療により大きな進歩を遂げている.クローン病は根本的治療法がないため,現在の治療目標は寛解導入・維持と患者のQOLを高めることである.高度な狭窄,瘻孔あるいは穿孔などを認める場合は外科治療の適応となる.しかし,近年では生物製剤の発展が著しく,いまやクローン病の自然史を変える可能性も期待されている.また,抗ヒトTNFα抗体製剤は2010年6月に潰瘍性大腸炎に対しても効能・効果が追加承認された.潰瘍性大腸炎においても,分子標的治療薬による治療効果が期待されている.
一方,外科治療においては,腹腔鏡下手術などをはじめとした技術進歩が認められ,低侵襲化や,整容性の向上によるQOLを重視した治療が行われている.特に炎症性腸疾患では,悪性疾患と比較して外科治療となる対象がより若年者の場合も多く,整容性も外科治療を考慮するうえで重要なポイントとなる場合もある.また,腹腔鏡下手術が行われる件数が増えているとはいえ,開腹手術・腹腔鏡下手術ともに利点・欠点が存在する.
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