病院めぐり
ヴォーリズ記念病院外科
周防 正史
1
1ヴォーリズ記念病院外科
pp.946
発行日 2011年7月20日
Published Date 2011/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103637
- 有料閲覧
- 文献概要
当院は1918年に結核療養所「近江療養院」として開設されました.大正から昭和初期には結核はいわゆる「死に至る病」として知られ,社会から排除される時代でした.結核感染者を隔離することによって感染の蔓延を防ぎ,偏見のなかで彼らの人権を守り,死に至る床で最期を看取ってきました.創立者であるW. M. ヴォーリズがキリスト教の理念のもと結核の撲滅に心血を注いだ病院です.
外科手術は昭和25年に肺結核に対して行われた胸郭形成術に始まり,翌年には肺切除術が施行されました.昭和60年頃までは,呼吸器疾患の専門病院として胸部外科の諸先輩が活躍しておられました.当時の手術室は地下にあり,エレベーターもない時代でしたので,手術が終わると男性職員が集められ,担架で患者さんを2階にある病室まで運んだそうです.戦後は抗結核療法剤の進歩に伴って結核感染症が減少し,1990年代には結核医療からの転換を迫られました.21世紀にやってくる超高齢者時代を想定して1993年に訪問看護ステーション,ヘルパーステーション,居宅介護支援事業所を開設し,2000年をもって結核病棟を閉鎖し,療養病棟を開設しました.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.