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特集 乳糜胸水・腹水を考える―その原因と対策
〔乳糜胸水・腹水の治療方針〕
術後の乳糜腹水の治療方針
Diagnosis and management of post-operative chylous ascites
黒岩 実
1
Minoru KUROIWA
1
1群馬県立小児医療センター外科
キーワード:
乳糜腹水
,
術後合併症
,
胸管
,
脂溶性色素
,
ソマトスタチンアナログ
Keyword:
乳糜腹水
,
術後合併症
,
胸管
,
脂溶性色素
,
ソマトスタチンアナログ
pp.1408-1413
発行日 2010年10月20日
Published Date 2010/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103221
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要旨:術後乳糜腹水は比較的稀ではあるが,しばしば難治性で,蛋白・リンパ球などの喪失に伴う栄養・免疫面での問題を生じうる合併症である.
通常,保存的治療が奏効し,症例の約2/3以上で治癒が見込まれる.すなわち,脂肪制限食や絶食+経静脈栄養あるいはソマトスタチンアナログ製剤投与にて満足すべき結果が得られる.一方,治療抵抗例では外科的治療が必要となる.しかし,術中の部位同定はしばしば困難なため,術前のリンパ管シンチや造影のみならず,術中に直視下の漏出部同定を可能とする術前処置(ミルクや脂溶性色素投与)や術中色素投与を併用すべきである.最終手段としての腹腔-静脈シャントは,その適応に慎重であらねばならない.
乳糜腹水リスクの高い手術では,その予防に留意すべきで,正確な解剖学的知識と確実な手術操作が要求される.
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