書評
奥坂拓志,羽鳥 隆(編)「膵癌診療ポケットガイド」
中尾 昭公
1
1名古屋大学大学院・消化器外科学
pp.1126
発行日 2010年8月20日
Published Date 2010/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103153
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このたび,『膵癌診療ポケットガイド』が刊行され,読ませていただく機会を得た.膵癌は21世紀に残された最も予後不良な消化器癌の一つであり,各方面からの研究が進みつつあるものの治療成績に反映されるまでに至っていない.日本膵臓学会では『膵癌取扱い規約(第6版)』ならびに『膵癌診療ガイドライン(第2版)』を昨年出版し,また膵癌登録も実施しており,これらは本邦における膵癌治療のための3つの大きな柱となっている.膵癌の治療成績はいまだに不良で十分なエビデンスも少ない.これらの3本柱の資料を上手に利用しながら第一線で活躍中の臨床医の意見をMEMOで取り上げており,執筆者の本音の意見がうかがえて大変面白い.また,膵癌治療は今後さらなる新しい治療法が開発されなければならないが,TOPICSとしてこれからの展望についても述べられている.研修医あるいは若手医師に膵癌治療の現状を読み取っていただくことはもちろんであるが,さらなる治療成績向上のための新しい治療開発にもつながることを期待している.
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