書評
小泉 潔(著)「カラーアトラス胸腔鏡下肺癌手術―イラストとDVDで学ぶ術式のポイント」
白日 高歩
1,2
1福岡大学
2福西会病院
pp.1568
発行日 2009年11月20日
Published Date 2009/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102873
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著者の日本医科大学呼吸器外科・小泉潔教授は我が国における胸腔鏡下肺癌手術の代表的な権威者のお一人として有名である.先生はそれ以前のオーソドックスな開胸手術の時代から,この胸腔鏡による肺癌手術に至るまでの2世代にわたる呼吸器外科の歴史に身を置かれ,その奥儀を究められた外科医の一人である.
1980年代頃隆盛となった胸腔鏡手術は当初,自然気胸に対するブラ切除を対象に爆発的に広まったが,すぐに呼吸器外科医すべてが熱心に取り組む肺癌に応用されるに至り,いわゆるVATS Lobectomyとして日本全体に流布することとなった.大きな皮膚切開を行わずに出来る限り小さな傷(ポート孔ならびに操作用切開創)で肺癌手術を完遂出来る胸腔鏡下手術は,いわば今日の時代的要請であり,特に最近のように小型~微小肺癌が大部分を占める時代においては,さらに難しい区域切除の手術も胸腔鏡下に実施することが求められる状況である.本書は肺癌の発生部位別に葉切除,全摘,区域切除の各胸腔鏡手技を分かりやすく解説しており,これから胸腔鏡下に肺癌手術をやってみようとする若手胸部外科医にとっては必見の書と考えてよい.
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