特集 クリニカルパスによる外科医療の進歩
エディトリアル
クリニカルパスによる外科医療の進歩
田島 知郎
1
Tajima Tomoo
1
1東海大学医学部外科学教室
pp.5-10
発行日 2003年10月22日
Published Date 2003/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101549
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はじめに
クリニカルパス(以下,パス)がわが国に本格的に導入され始めて数年になる.当初は看護部門中心にブームが起こったこともあって,医師側の関心が低く,抵抗があったが,最近の普及振りは加速度的で,2005年には80%以上の病院が使用するようになると予想されている1).この急速な普及の背景には,数年前の国立病院での試行で始まったDRG/PPSのわが国への導入が大学病院などに拡大し,本格化している中で,「入院診療計画」の策定がなければ社会保険診療報酬で入院基本料が減点されることになったことなどがある.
本誌で2年半前に「外科におけるクリニカルパスの展開」の特集を組んだ当初は,パスを病院経営の重要な戦略ツールと位置付け,チーム医療の育成,医療の標準化,入院日数の短縮化,経営効率の向上などの効用が目論まれていたが1,2),最近ではわが国の医療を根底から見直させ,改善させる力がパスにはあると認識されるようになった2,3).そこで本特集号「クリニカルパスによる外科医療の進歩」が組まれたわけであり,その序文として本稿では,まずわが国における医療の問題点をいくつか取り上げ,パスのメリットとその活用による医療の改善~改革について考え,それらを踏まえてパスが関わる近未来を展望する.
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