目で見るカラーグラフ 世界に向かう乳腺疾患診療の新技術・1
乳腺疾患における細胞・組織診断の新技法と工夫
渡辺 良二
1
,
難波 清
1
Watanabe Ryoji
1
1ブレストピアなんば病院
pp.591-599
発行日 2003年5月20日
Published Date 2003/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101380
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はじめに
従来,乳腺疾患の診断は,外科的切開生検で施行されてきたが,侵襲が大きく瘢痕を伴うばかりでなく,術前に画像診断の評価なく生検されたときは癌の広がり診断が困難となり,乳房温存手術の適応決定で難渋する場合がある.
近年,乳腺疾患の診断は外科的切開生検から穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration cytology:FNAC)が主体になったが,FNACは生検に比べて検体量の不足,変性や偽陽性が多いのが難点である.米国では,1990年代から低侵襲で組織学的情報が得られるバネ式針生検(core-needle biopsy:CNB)が発達し,現在ではFNACはほとんど行われなくなってきた1).
また,画像診断の進歩により非触知病変や良・悪性の判定困難な病変が増加してきた.非触知病変に対する正確な検体採取のために,画像誘導下の生検が必須になった.当院では画像診断を重視し,CNBが正しい診断と治療に有用であることを発表してきた2,3).本稿では,FNACとCNBの適応ならびに正確な検体採取の工夫を中心に解説する.
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