「脳と神経」への手紙
Cavernousとspongiformの日本語訳は別にすべきでは?
室田 武伸
1
1公立学校共済関東中央病院脳神経外科
pp.729
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901994
- 有料閲覧
- 文献概要
最近,脳内cavernous angiomaで通院されている患者さんより,自分の日本語病名(海綿状血管腫)が,海綿状脳症(spongiform encephalopathy)と紛らわしく,周囲から誤解を受けている,との訴えがありました。確かに,これら2つの病名は一般の方々には混同されやすく,これらの疾患が全く異なることや,これらの英語の中には,共通する単語がないことは,あまり認識されていないと思われます。この混同の原因は,cav-ernousも,spongiformも,ともに"海綿状"と訳したことにあります。Cavernousはcavernの形容詞で,洞窟や小さなくぼみの多い,というのが元来の意味で,動物においては海綿状構造の,という意味で使われています(研究社New English-Japanese Dictionary)。これに対しspongiformは,文字通り,スポンジの形の,という意味で,どちらも海綿状と訳して決して誤りではなく,最近までそれで特に不都合はなかったと考えられます。しかし,BSE(Bovine spongiform en-cephalopathy)が大きな社会問題となっている昨今,cavernousとspongiformには別々の訳語を与えて区別し,無用の誤解をなくすべきではないでしょうか。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.