Japanese
English
特集 無症候性神経疾患の対処
無症候性髄膜腫の治療適応
Treatment for Asymptomatic Meningioma
松谷 雅生
1
Masao Matsutani
1
1埼玉医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Saitama Medical School
キーワード:
brain tumor
,
meningioma
,
natural history
,
asymptomatic meningioma
Keyword:
brain tumor
,
meningioma
,
natural history
,
asymptomatic meningioma
pp.327-330
発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901752
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はじめに
最新のわが国の統計2)では,髄膜腫が原発性脳腫瘍の中で最も頻度の高い腫瘍(26.4%)となり,従来最高頻度であった神経膠腫は第2位(26.1%)となった。この大きな要因は,MRIの普及により頭蓋内疾患に対するスクリーリング精度が上がったためであることは言うまでもない。1969〜1993年までの間に手術を行った髄膜腫診断時の大きさ(最大直径)を比較すると,直径2〜3cm台の腫瘍頻度が著しく増加し,1981年以前は22%であったのが,最近ではほぼ半数(49%)に至っている。逆に直径5cm以上の腫瘍頻度は1981年以前の55%から半減している(表1)2,9〜11)。70歳以上の患者の手術件数も年を追う毎に上昇し,以前の5%から最近では18%に上っている(表1)。短絡的に言えば,頭痛,軽度な頭部外傷,脳血管障害危険因子保有者などに対するスクリーニングMRIの結果,中高年者の直径3cm以下の無症候性髄膜腫が増加し,かつそれらに対する手術件数が増加していると解釈できる。
この現象に対して浮上してきた問題は,直径1cmの腫瘍は別として,直径2〜3cmの偶然発見された無症候性髄膜腫を治療すべきか否かである。わが国の一般的な脳神経外科医の感覚は,直径2cm以下の腫瘍は経過観察,症候性あるいは直径4cm以上は手術摘出,直径3cm前後は症例毎による判断,であろう。
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