Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
痙攣発作で発症したシルビウス裂内脂肪腫
Intracranial Lipolna in the Sylvian Fissure with Convulsion
宮田 榮三
1
,
森 欣男
1
,
安野 泰史
2
1大同病院神経内科
2藤田保健衛生大学医学部放射線科
pp.300-301
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901748
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頭蓋内脂肪腫は全頭蓋内腫瘍の0.5%にも満たない稀な疾患で,剖検時に偶然発見されていた4,6)。しかし,近年の神経放射線学的診断法の発達によりその発見頻度は増大している。われわれは,てんかん発作で発症し,MRIにてシルビウス裂内に脂肪腫を認めた1例を経験したので呈示する。
症例は65歳の男性。既往歴:5年前より高血圧にて近医で加療中。現病歴は2000年4月5日に,仕事中突然大声をあげ立ち上がり,机の周りを走る行動を繰り返すため,当院を受診した。受診時理学所見では特に異常はなく,神経学的所見では意識は軽度混濁し,物を飲み込む動作や診察室を歩き回る動作を繰り返していた。脳神経,運動系,感覚系,小脳系には異常は認められなかった。血液一般,生化学は正常範囲内であった。脳波では左側頭部を中心にirregular θ waveが混入し,一部にsharp waveが認められた。緊急頭部CTでは左シルビウス裂に低吸収域の占拠病変を認めた。頭部MRIではT1強調像において同部位に境界明瞭で皮下脂肪と同等な均一の高信号域を呈し,T2強調像では均一な低信号域を示した(図1A,B)。Gd造影では増強効果は認められなかったが,腫瘤の上方に薄い一層の低信号域を認めた(図1C,D)。MRI所見よりシルビウス裂内脂肪腫と診断し,これに伴う症候性てんかんと考えた。Carbamazepin 200mg/日を投与した後,てんかん発作は消失している。
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