Japanese
English
総説
片頭痛の発生機序と新しい治療
Current Concept in Pathogenesis of Migraine and Its Treatments
鈴木 則宏
1
Norihiro Suzuki
1
1北里大学医学部内科(神経内科)
1Department of Neurology
キーワード:
migraine
,
trigeminal nerve
,
spreading depression
,
5-ydroxytryptamine
,
triptans
Keyword:
migraine
,
trigeminal nerve
,
spreading depression
,
5-ydroxytryptamine
,
triptans
pp.287-295
発行日 2000年4月1日
Published Date 2000/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901578
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はじめに
頭痛ほど最もありふれた疾患であるにもかかわらず,一般医家にとってアプローチしにくい疾患はないといっても過言ではないであろう。その理由として,頭痛の原因が多岐にわたること,病態を改善させるよりも「痛み」が症状の前景に立つため対症療法的にいわゆる鎮痛剤の投与が先行してしまうことにより基礎治療がないがしろにされ病態が慢性化してしまうこと,などがあげられる。特に「片頭痛(migraine)」は,わが国ではその病名が「一側性の頭痛の総称」として誤解されやすく,多くの場合一般に誤って理解されているのが現状である。このことも本疾患の治療環境を一層複雑にしている。さらに片頭痛は,その病態が長きにわたり解明されなかったため決定的な治療法が確立されなかったことも一般医家から敬遠されやすい疾患となっていた。わが国の片頭痛の有病率は8.4%とされている45)が,これらの患者すべてが適切な診断および治療を受けているとは考えにくいのが現状である。しかし近年,片頭痛の発生機序研究の進歩によりその病態の改善に根ざした治療法が急速に確立されつつある。本稿では,片頭痛の発生機序研究の現状を解説した上で,薬物療法の実際さらに今後登場が期待される治療の臨床的な意義や展望を述べたい。
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