Japanese
English
特集 脳疾患に対する定位的放射線治療の進歩
定位的3次元集光照射システム(SMART:stereotactic multiple arc radiotherapy)
Stereotactic Multiple Arc Radiotherapy
野村 和弘
1
,
渋井 壮一郎
1
Kazuhiro Nomura
1
,
Soichiro Shibui
1
1国立がんセンター中央病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, National Cancer Center Hospital
キーワード:
stereotactic radiosurgery
,
fractionated irradiation
,
linear quadratic formula
,
recurrent gliomas
Keyword:
stereotactic radiosurgery
,
fractionated irradiation
,
linear quadratic formula
,
recurrent gliomas
pp.143-148
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900904
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はじめに
γナイフを代表とする定位的放射線治療は,良性の脳動静脈奇形の治療から発展し,その有効性,副作用の検討が進められ,現在では頭蓋内腫瘍性病変,良性でしかも手術にて摘出不可能な髄膜腫,神経鞘腫に対しても行われている。これは従来の放射線治療学の範囲を越えた,新しい治療理念であると思われる。しかも治療成績が現段階で良好であるという事実から,さらに悪性脳腫瘍にまで対象の範囲を拡げる趨勢にある。それに伴い,今までの放射線治療学の長い歴史の中で,詳細に検討され発展してきた悪性腫瘍に対する豊富な経験と知識とが,軽視されそうな危惧も感じられる。将来に禍根を残さず,有効な照射法を開発するには,悪性腫瘍の特性に応じた照射法を再考すべきと考え,特に放射線治療に携わる専門家による良い治療法の提示を期待する次第である。本記述のSMART療法は,従来の放射線生物学の集積とさらに最近のラディオサージャリー(radiosurgery)の利点を一緒に利用できる治療法として国立がんセンター中央病院,放射線治療部にて工夫されたもので,当脳神経外科と共同で現在治療を行っている。そこでの経験を通じて私見を記述する。
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