Japanese
English
特集 記憶障害:病変と特徴
脳弓・脳梁膨大後域(辺縁葉後端部)病変
Amnesia due to Fornix and Retrosplenial Lesion
塩田 純一
1
,
河村 満
2
Jun'ichi Shiota
1
,
Mitsuru Kawamura
2
1汐田総合病院脳血管障害センター 神経内科
2昭和大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Cerebrovascular Disorders Center, Ushioda General Hospital
2Department of Neurology, Showa University School of Medicine
キーワード:
fornix
,
retrosplenial region
,
isthmus of cingulate gyrus
,
circuit of Papez
,
amnesia
Keyword:
fornix
,
retrosplenial region
,
isthmus of cingulate gyrus
,
circuit of Papez
,
amnesia
pp.443-452
発行日 1995年5月1日
Published Date 1995/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900785
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はじめに
古くからPapezの回路31)と記憶との関係が論じられてきた2)。Papezの回路を構成する海馬や視床前核病変例が呈する記憶障害については比較的早くから検討され,かなりの数の報告が蓄積されている。それに対して,やはりPapezの回路の一部である脳弓(For—nix)や帯状回の後端に存する脳梁膨大後域(Retrosp—lenial region5);辺縁葉後端部22))の病変例については報告症例が少なく,それらが呈した症候についての詳細な検討は稀少である。この理由は脳弓や脳梁膨大後域の限局性病変が生ずることが稀であることに加えて,この部の病巣診断が困難であったことにある。しかし,X線CT(computed tomography)に加えて磁気共鳴像(magnetic resonance imaging:MRI)による画像診断法の進歩により,これらの部位の限局病変例が報告されるようになり1,13,23,25,42),かかる症例における臨床症候の詳細な検討の提示に伴ってその病態が明らかになりつつある。
本稿ではまず脳弓病変による記憶障害の特徴について,次に脳梁膨大後域病変によるそれを述べる。
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