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ムンプスワクチン接種後に発症した可逆性脳梁膨大部病変
田口 芳治
1
,
小西 宏史
1
,
高嶋 修太郎
1
1富山大学附属病院神経内科
pp.348-348
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_348
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症 例 18歳,男性.
ムンプスワクチンの接種を行った3週後より頭痛,発熱,嘔気が出現したために当科に入院した.神経所見では意識は清明であったが,項部硬直を認めた.血液検査では炎症反応は正常であったが,Na 128mEq/Lと低値であった.髄液検査では細胞数251/μL(単核球99%),髄液糖43mg/dL(血糖95mg/dL),蛋白46mg/dLと単核球優位の細胞増多を認め,PCRにてムンプスウイルスが同定された.入院時に施行した頭部MRIでは脳梁膨大部にT2強調画像および拡散強調画像(DWI)で高信号域と同部位にapparent diffusion coefficient(ADC)の低下を認めた(図1a~c).頭部造影MRIでは同部位の造影効果はなかった.第9病日に施行した頭位MRIでは脳梁膨大部病変は消失していた(図1d~f).以上よりムンプスワクチン接種後に発症した可逆性脳梁膨大部病変を伴うムンプスウイルス髄膜炎と診断した.また,低Na血症は血漿バゾプレシン値,血漿浸透圧値,尿中Na値などよりバゾプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断基準を満たし,SIADHと診断した.
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