連載 症候学メモ・60
線維束性攣縮は病的所見か
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.359
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900043
- 有料閲覧
- 文献概要
◆線維束性攣縮(fasciculation)とは,説明するまでもないことであろうが,安静にしている筋に,自発性の筋線維の収縮が起こり,皮膚の上からは時間間隔の不規則なピクピクとした動きとしてみられるものである。一つの筋の一部分に起こり,一つの筋が全体として収縮するようなものではない。また,一回ピクッと収縮することもあれば,連続的に数回収縮することもある。また一か所に繰返し生ずることもあれば,隣接する.部位に,あるいは隣接する筋に生ずることもある。
◆診察に際して,検者がこれを目で認めるのが最も確かなことであるが,患者によっては,このピクピクを自分自身で感知していることもある。それは問診で知ることができる。検者が筋を軽く叩いたり,患者が筋を使った直後に,よく見えることもある。ところで,このようなピクつきは,健常人である我々でも時として,これを感ずることがある。つまり生理的といわれるものである。医学生が神経内科学の講義を受けるようになると,この生理的な線維束性攣縮が,病的なものではないかと思い,運動ニューロン疾患を心配して尋ねてくることが,何年かに一人はある。つまり,線維束性攣縮が病的なものか,健常なものか,の区別が問題となる。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.