--------------------
編集後記
遠藤 實
pp.789
発行日 1988年8月1日
Published Date 1988/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206163
- 有料閲覧
- 文献概要
本年初めから編集委員を務めさせて頂いている。薬理学の立場からの視点をも,ということと了解している。余り適任とは思われないが,努力する積もりなので,宜しくご鞭達をお願いしたい。
細胞ないしは細胞下レベルで,解析的に物事を基本的な個々の素反応の段階にまで先ず分解して理解しようという立場での仕事に携わっていると,どうしても臨床との関連が希薄になり勝ちである。医学部に籍を置きながらそういう事では,という声が聞こえて来る気がするが,研究というものは常に基礎的な方向へほぼ一方的に進んで行くもので,やむを得ない。ただ,医学部においてそういう道を歩み続ける唯一の言い訳は,もし本当に基本的な事柄を解明することが出来れば,それは丁度輪が閉じるように一挙に臨床と密接に結び付く,という事実であろう。換言すれば,臨床との結び付きが少ないと批判されるようであれば,それは基礎研究としても未だ真の第一級の研究ではない,とさえ言えるかも知れない。大きな輪が閉じる所を目指して,努力を続けている。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.