連載 症候学メモ・26
spasticとspasmodic
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.104
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205846
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◆spasticもspasmodicも日本語ではともに痙性と訳されていることが多い。しかしその内容は異なり,欧米医学では両者を区別して使っている。spastic paraplegiaというが,spasmodic paraplegiaとはいわない。spasmodic torticollisであってspastic torticollisではない。我々日本人でもspasticとspasmodicとは一応区別して用いている。
◆spasticとは,辞書類をひもとくと,spasticus (ラテン語),spa-stikos (ギリシャ語)に由来している。一方,spasmodicはspasmodes(ギリシャ語)に由来し,これはspasmos+eidosから成っていると記されている。spasmosはいうまでもなく今日のspasm (spasmus)である。spastikosもspasmodesもその語根はspa-で,語源は同じであるようである。どちらもきつく引っ張る,引きしめる,という内容を蔵していることは間違いなさそうだが,但し,spasmodicを構成するeidosは見た外観形,像,の意味をもっているとされている。筆者はギリシャ語,ラテン語をよく知らないが,どうもこのようなことらしい。
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