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Ⅰ.はじめに
高血圧性脳出血の外科的治療に関しては,1903年Cushing3)が最初に報告して以来現在まで約80年の歴史がある。しかし,本疾患が本格的に研究され出したのは1960年以後であり,1961年McKissockら22),1970年Scott & Werthan26)は外科治療と内科治療の比較検討を行っている。それによると必ずしも外科治療成績は内科治療と比較して良好とはいえず,この事実が長い間本疾患に対する外科的治療に対しての内科外科両サイドからの治療法に関するdiscussionのbackgroundになっていると思われる。しかしながら欧米ではこの他にLuessenhopら(1967)17),Paillas&Alliez (1973)24)の外科治療に関する報告があり,これらは従来の治療成績にくらべ良好であり,このことが木疾患治療に対する一つの方向性を示唆したといえる。
一方,本邦では,1946年陰山ら12)が最初に本疾患に対する外科治療施行例の1例を報告して以来,多数の報告をみるが,1960年代に入り光野(1963)19)(1966)20),金谷ら(1967)6)(1972)7)により積極的な外科治療に対する考え方が導入された。また,1974年金谷・半田8)により全国調査が施行されたが,これによれば日本では,本疾患の手術死亡率,機能予後ともに欧米に比較してかなり良好な成績を収めている。このように本疾患の外科治療に関しては,次第にその有用性が認められるに至っているが,その手術適応を初めとする外科治療に対する見解は必ずしも諸家の問で未だ一致している訳ではないように思われる。最近,computed tomographyの普及と,顕微鏡手術の導入により脳神経外科の治療そのものが進歩してきているため,高血圧性脳出血の手術成績も従来に比べ大幅に改善されていることが予想される。
本稿では,著者が中心になり1981年に施行した全国調査結果9,25)を中心に,高血圧性脳出血の外科治療成績について論述するが,紙面の都合上被殻出血について詳細に述べ,以下祝床出血,皮質下出血,小脳出血についてもその外科治療について若干言及してみたい。
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