Japanese
English
総説
DNAの不安定性と神経疾患
Instability of DNA and neurological diseases
鈴木 康之
1
,
河野 義恭
2
Yasuyuki Suzuki
1
,
Yoshiyasu Kohno
2
1神奈川県立こども医療センター遺伝科
2国立武蔵療養所小児神経科
1Department of Genetics,Kanagawa Children's Medical Center
2Department of Pediatric Neurology, National Musashi Sanatorium
pp.1197-1205
発行日 1980年12月1日
Published Date 1980/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204679
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先天的に中枢神経障害をおこす疾患群の中に,皮膚・免疫系など系統的異常を特徴とする疾患がある。染色体脆弱症候群(Chromosomal breakage syndrome)はGermanが提唱したグループで,Fanconi貧血,Ataxia—telangiectasia,Bloom症候群が含まれる1)。染色体が様様な切断や構造異常をおこすため,免疫障害や悪性腫瘍化し易すいことを特徴としている。色素性乾皮症は,紫外線に対するDNAの修復障害によつて2),やはり悪性腫瘍及び皮膚・神経系に病変をみる疾患である。同様の系統疾患に神経皮膚症候群と呼ばれるグループがあり,本態は不明であるが,病態発生的には上記疾患に類似していると思われるものが含まれる。
これらは色素性乾皮症で示されたように,核酸の不安定性との関連が示唆される疾患である。仮に遺伝情報を司どる染色体が不安定であれば,細胞の機能分化に変化がおこり,多臓器に及ぶ病変を持ち,一部腫瘍化することも理解されるし,奇形を伴ったり加齢と共に病変が発展することも理解できる。さらに染色体の不安定性はDNA修復系の異常を背景として表われてくる。
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