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CarbidopaとLevodopaの併用はLevodopaの単独投与の場合に比しLevodopaの量を少くすることができ,副作用の出現が少いことが特徴とされている。しかしLevodopa単独では副作用はなかつたがCarbidopaとの併用で精神症状の出現した2例を経験した。症例1は53歳男,10年来parkinsonismで5年前にLevo—dopa投与を受け効果があつたが1日5g投与1年半でiystoniaが出現した。19/日に減少しtrihexyphenidylhydrochlorideなどを加えてdystoniaの減少を認めた。Levodopaは暫く中止後,Carbidopa25mg (1錠),しevodopa250mg (1錠)から始め3日毎に1錠ずつ増加し,1日3錠ずつにした時,幻覚,興奮が出現し,躁病様になり性欲異常亢進を伴つた行動,狂暴などのため抑制が必要となつた。2日間投薬を中止し,Levodopa250mgとAmantadineを併用し,2日毎にLevodopaを250mgずつ増加し1日2gとした。精神症状は正常化しParkinsonismのコントロールはLevodopaを最初に投与した時の状態位となつた。多少のdyskinesiaはあつたが,精神症状の再発はなかつた。患者は精神的異常行動を覚えており恥じている。症例2は75歳男で16年来Parkinsonismであり,49のLevodopaと4mgのtrihexyphenidylhydrochlorideで2年以上かなりの症状の改善を得ている。更に症状改善を得るべく25mgのCarbldopaと250mgのLevodopaが暫くLevodo—pa中止後が投与された。2日目迄に硬直と振戦は著明に改善したが3日目に興奮,幻覚,著明な感情不安定が出現したためCarbidopaは中止し,250mgからのLevodopa単独に切換え1日2.59迄増加した。5日後に精神症状はおさまつたが,周期的な失見当識,感情不安定は持続した。この2例はLevodopaで異常なくCarbidopaとの併用で精神症状が出現した最初の報告例である。患者によつては短期問投与中止Levodopaので必要量は低下するが,つづくCarbidopa-Levodopa併用の際,過量投与と共に時に精神症状が出現する可能性がある。
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