筋組織化学アトラス2
正常筋(成人)
木下 真男
1
1東邦大学医学部第二内科
pp.634-636
発行日 1970年6月1日
Published Date 1970/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202732
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組織化学的に見て骨格筋には少くとも2つ,あるいは3つの異なつた型のあることが知られている。type I fiberあるいはC fiberと呼ばれているものはcytochrome A3, SDH, NADHなどのoxidative enzyme染色で濃染し,phosphorylaseなどの解糖系酵素の染色,PAS染色などでは淡染する。typeII fiberあるいはA fiberと呼ばれるものはこれと全く逆で,oxidative enzymeがうすく,phosphorylase, PASが濃い。myosin ATP aseは普通の染色法ではtype IIが濃いがpHを変えるとtype Iが濃くなる。oxidative enzymeもphosphorylaseも共に両者の中閻の染色を示すものはB fiberと呼ばれている。
生理学的に見た1つの運動単位すなわち1個の脊髄前角細胞とそれに支配される筋線維群はmotor unitあるいはneuro-muscular unitと呼ばれているが,同じunitに属する筋線維は同じtypeを有するものと考えられている。この組織化学的なfiber typingが古くから知られている赤筋,白筋の区別あるいは生理学的なslow (tonic) muscle, fast (phasic) muscleの区別とどのような関連を有するか種々の検討が行なわれている。
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