特集 第21回日本脳神経外科学会
学会印象記
第21回日本脳神経外科学会に出席して
近藤 駿四郎
1
Shunshiro Kondo
1
1東京労災病院脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Tokyo Labor Accident Hospital
pp.241-244
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201432
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午後8時に東京を発つた急行那智は18日未明伊勢へ着いた。小学生の頃,修学旅行でこの地を訪ねたのは遠い昔,国民的敬慕の中心であつたその頃の印象と,観光都市伊勢に変貌した早朝の街々をながめた時のそれとをくらべ,歳月を感じたのは筆者のみではないだろう。前夜の雨もあがり,曇り空も次第に明るく陽光をのぞかせ,駅前商店街の軒々に《歓迎第21回日本脳神経外科学会》の提灯が吊されている。思えばこの学会も盛大になつたものである。最初の頃は出席者も少なく,時によると5〜6人しか会場に聴講の人がいなかつたことも珍らしくなかつたが,今や各大学に脳神経外科講座の新設を本学会の名において申しいれる機運となつたそうである。学会第1日の開会までしばらく時間があるので宿へ直行し,同行の若い医局員達と今日から始まる学会の日程,内容等を検討してみた。
10月19日午前8時,会長三重県立大学山本俊介教授の開会の辞により始まり,第1日目は解剖,生理,脳血管(I.II.),低体温,頭部外傷(I.II.),頭部外傷後遺症についてそれぞれ時間ごとに,区分し,第2日目は午前中を生化学,髄液・脳浮腫,診断法,定位手術(I.II.)の順に行ない午後は総会議事および特別講演と学術映画にあてられてある。最終日は午前中に脊髄・末梢神経,脳腫瘍(I.II.),精神外科・脳波およびてんかんの各主題が予定されている。
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