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特集 脳浮腫・血液脳関門
低体温法ならびに高張尿素液の効果—脳浮腫・血液脳関門の観点から
THE EFFECT OF HYPOTHERMIA AND UREA ON CEREBRAL SWELLING AND B. B. B.
宮崎 雄二
1
Yuji Miyazaki
1
1札幌医科大学脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Sapporo Medical College
pp.382-384
発行日 1962年5月1日
Published Date 1962/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201247
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低体温法,高張尿素液,高張糖液3者の脳浮腫に対する影響について検索した結果を報告する。その検索は主として脳容積および脳組織含水量についての測定によつた。脳容積はDIBV法すなわち頭蓋内腔のうち脳によつて占められていない頭蓋内余裕間隙の全頭蓋内腔容積に対する割合で算出し,脳組織含水量は塩化コバルト法によつた。
正常脳圧,非浮腫脳に対する影響では第1表のごとく低体温25℃がもつとも脳容積の縮小が顕著で,DIBVは3.33%の増加を示し,これは頭蓋内余裕間隙が約1.3倍に増加していることを意味している。高張尿素液は低体温30℃のそれと同じく,高張糖液はもつとも弱い。これらの例における脳組織含水量は第2表のごとくいずれの例も自由水の減少による全水の減水を示してはいるものの高張尿素液が低体温25℃につぎ,低体温30℃のそれの2倍で1.45%の自由水減少を示している。このように高張尿素液投与による脳容積の減少が低体温30℃と同様であるのに,自由水の減少はさらに強く25℃の場合に近くなつており,両者の値にくいちがいのあるのは,両者の作用機序の差異によるものであり,高張尿素液は脱水作用によるが,低体温法な脱水作用の他に直径200μ内外の血管の縮小作用も加わつておりこの両者によるためである。
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