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はじめに
蝶形骨縁脳膜腫,側頭葉切除術など中等蓋窩に侵襲を加える脳手術に対しては側頭部を開いて侵入する。その他頭蓋咽頭管腫,脳下垂体腺腫,後交連動脈動脈瘤,三叉神経等按部附近の手術に対しても,横から入る経側頭葉接近がしばしば有効である。さて今まで普通行なわれてきた経側頭葉接近においては,側頭部の上向きの弧状の切離を加えて開頭し,骨片は側頭筋につけて外側に飜転して入る方法がとられていたようである。この方法では側頭葉でも頭頂葉に近い部位での侵襲では問題はないが,頭蓋底特に側頭葉先端および中頭蓋窩中央部への侵襲では,側頭骨を顴骨弓附近まで充分囓つて行く時,二重に折重つた側頭筋が厚く,この操作を邪魔し,また飜転せる骨片も操作の障害となつていたのである。また中心部への深さがそれだけ深くなり仕事が困難となつていたわけである(第1図)。この飜転した骨片と二重に折重つた側頭筋をなんとかすれば中頭蓋窩への手術侵襲はより容易になるという考えの下に,既にSantiagoのValladaresl)2)が側頭葉切除術で用いている皮切を少しく改善して,頭蓋咽頭管腫,または第三脳室底に深く発育している脳下垂体腺腫,後交連動脈瘤や後大脳動脈が主流入血管である血管腫性動静脈瘤など,もちろん側頭葉腫瘍の場合にも応用してみたところ,鞍部およびテント裂隙附近までも横から充分見得る視野が得られ,しかも骨片および筋肉片の邪魔もなく今までの接近方法に較べてより操作が容易であつたので,この方法について特に鞍部附近への接近方法について紹介する。
Temporal approach is often effective in operation of craniopharyngioma, pituitary ade-noma or aneurysma of posterior communicat-ing artery. However mostly used method of temporal approach with double folded temporal muscle and bone flap can't give enough opera-tive field to resect the temporal tip or to ex-tirpate tumors situated in middle cranial fossa or the region of sella turtica. By modificating the method which Valladares in Santiago has used in resection of temporal lobe, we have good results in such operation as craniophar-yngioma, pituitary adenoma, sphenoidal ridge meningioma or A-V fistula of the region of posterior cerebral artery. Our method of temporal approach is herein reported in detail.
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