第10回脳波学会特別講演
日本脳波研究の回顧
勝沼 精蔵
1
1名古屋大学
pp.583-585
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201099
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この第10回の学会に,過去を振り返つてのお話をせよという御要請がありましたので,私適任じやないと思つて,お断わりしたのですけれども岩瀬会長より,数回電話,手紙で御督促がございまして,申しわけありませんでした。時間もだいぶおくれてきましたので,端折つて申し上げます。
1937年でありましたが,私ほかの用事でドイツへ行つておりましたとき,脳外科のテニスだとか,シュパッツだとかいう人と一緒に,コルンミュラーのごく初期のスタートのときでありましたが,見せてくれと言つたらコルンミュラーは見せてくれない。まだ不完全なものであるからと。そうしたら助手の男が,プロフエッサーはああ言うけれども,これは世界中に広がるものなんだから,器械は見せられないけれどもといつて,大体の話をしてくれたのです。それで一緒に行きました今の東邦大学の生理にいます朝比奈一男教授がそばについておつて,帰りましてすぐに手探りでこんな器械をこしらえて——むろん単極でありましたけれども——やつたのが発端で,それと同時に仙台の生理の藤田教授が,これはどういう関係でありましたかわかりませんけれども,非常にきれいなカーブを,お作りになつておいでになります。そこいらが出発点でありましたけれども,戦争の最中になりましたが,日本でもいろいろな班研究の制度が初めて始まりまして,一早く脳波の班研究を作つてもらいまして,そして私はそのお世話をすることになつた。
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