学会抄録
第8回筋電図学会総会演説抄録(その2)―末梢神経刺戟実験をめぐる諸問題(誘発筋電図を中心として)
鈴木 正夫
1
,
和合 卯太郞
2
,
堀 浩
3
,
松岡 健三
3
,
段原 広行
3
,
寺田 近義
3
,
小野 典郞
3
,
酒井 謙一
3
,
渡辺 健夫
3
,
光信 昌明
3
,
横田 博胤
3
,
馬場 幸夫
3
,
内海 庄三郞
3
,
村尾 恒治
3
,
北川 晃
3
,
本間 三郞
4
,
陣内 伝之助
5
,
沼本 満夫
5
,
島津 浩
6
,
伊藤 忠厚
7
,
藤森 聞一
8,10,14
,
三木 一郞
9
,
清原 迪夫
11
,
松永 守雄
12
,
岡 益尚
9
,
山崎 要
13
1千大第1生理
2信州大生理
3阪大第一外科
4千大生理
5岡大
6東大生理
7日本医科大学整形外科教室
8北大二生理
9阪大一外
10北大生理
11東大第二生理
12京大一外
13阪大整形
14北大第二生理
pp.580-609
発行日 1957年9月1日
Published Date 1957/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200606
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1)末梢神経通電と神経の興奮性
末梢神経に一定距離の両電極を経て直流電圧を通ずる際に,その両極に近い神経部分に種々の生理学的性質の変化が起ることは古くから注目されていた。Pflüger1)(1859)はこれに関し,それより前に見られていた区々たる所見を自己の観察により統合して,陰極付近では興奮性増大し,陽極付近では興奮性減小すると言い表わした。これを電気緊張と称する。興奮性の増大,減小は夫々閾値の下降,上昇により測られるのであるが,興奮伝導速度とか活動電位とかの現象にも夫々相当の変化を来たして,それらを総合しての興奮性を表わすことはむしろ困難であるから,陰極付近における閾値下降,陽極付近における同上昇を,的確なる電気緊張の表現とすべきである。
この電気緊張の知見は一般の生理学者に認められ,その後ほとんど全ての教科書に記載されて電気刺激における鉄則の如く考えられ,電気治療における電極の選択まで一にこれに拠るとさえされて来たのであつた。しかしながら電気緊張による閾値変化は,電気通流が続くに従つてそのまま留まるのでなくして,反対方向に変化を始めるのである。
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