書評
—三浦百重 編集・金子仁郞・新福尚武・猪瀨正 執筆—老人の精神障碍
三浦 岱栄
1
1慶応義塾大学
pp.710
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200523
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- 文献概要
戦後の医学界の新らしい動向として注目をあびたものに「精神身体医学」と「老人医学」とがある。いずれも欧米,ことにアメリカにおいて急速に流行の波に乗つたようである。わが国ではどちらも一足おくれているが,老人学に関しては長寿会とかライフ・エキステーシヨンとかいう団体までも発足して一部の間では仲々盛(?)のようである。
この老人学は丁度小児科学のように老人の身体・精神の両方面に亘ってその生理から病理に至るまで一貫したプリンシプル(老化という)のもとに観察され,まとめられる筈であるが,他の領域,例えば内分泌系統とか,血管系統の老人学がまだまとまって著述されていないのに,その精神医学方面が真先に検討されたことは,欧米の傾向を真似ているものではあつても,一応祝福すべきことである。日本精神神経学会では昭和29年第51回の総会において老人の精神医学をシンポジアムとして取り上げたが,本書はその時の司会者並に報告者がそれぞれその時の報告を基礎として,その後若干の加筆を行いまとめられたものである。
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