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KUeber den histologischen Aufbau der Bluthirnschranke.
K. Niessing
Deutsche Zeitschrift f. NervenheilkundeBd. 168. 1952.
腦を養つている血管には3つの毛細管域があつて,こゝで髄液と腦との間の物質交換が行われている。すなわち脈絡組織の毛細管,腦の外表にある軟膜の毛細管及び腦實質の中の毛細管がそれである。前2者は腦室及び軟膜腔内の腦脊髄液と血液との間をわけているのでBlutliquolschrankeと呼ばれるが,第3のもの,すなわち腦實質内の毛細管の血管壁は血液と神經細胞との間を直接にわかつているためにBluthirnschrankeと呼ばれている。最近の研究によると腦脊髄液と腦内部,殊に血管の周圍にある液體との間には差のあることが分つているのであるが,著者はこの兩Schrankeが形態學的にどう違うか更にはVirchow-Robin氏腔を含む軟膜腔中の腦脊髄液と腦實質内の液體との間に形態學的に證明されるような境があるかと云うことを主としてマウス腦を用い,これに鍍銀法,Held氏ヘマトキシリン染色法などを施して觀察している。血管が腦表面から出入する時は軟膜によつて作られた鞘状のPiatrichterをともなつて居り,これと血管外膜との間には腦脊髄液を入れている。この腔所の内壁は血管外膜外壁は軟膜とこれに附着する多數のグリヤ細胞よりなる。Membrana limitans gliaeよる成る閉鎖性のPiagliamembranであるが,これは次第に狹まつて所謂Virchow-Robin氏腔になる。血管が毛細管に移行する部分で血管外膜と柔膜とは融してこの腔所を閉じて了う。すなわち腦脊髄液腔はこれより深部にある腦實質とこゝで隔てられているわけで,かゝる意味でextracereblales Systemと云い得るのである。一方腦實質内毛細管域に存在するものは毛細管内皮とこれに屬するhomogenes GrundhäutchenであつてこゝにはMembrana limitans gliaeがなく少數のAs—trocytenが存在するのみである。このAstrocytenは積極的に形を變じてある時は毛細管にからみつき或る時はこれから離れてわづかに一點で接するなど色々の形をとる。しかし生體染色した場合色素を保存し得るのは内皮であつて,グリヤ細胞にはその能力はなく,Bluthirn—schrankeとしての機能を果すのは内皮のみであり,グリヤ細胞は活?な形の變化を行うことにより腦實質に入つて來た物質の攝取及び加工に對して大きな意味をもつと思うと述べている。
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