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足趾蹠屈反射について。
著者はこの種の反射についての廣範な論説をこゝに掲げ種々な名稱で呼ばれる反射の反射帶發現機轉及び疾病との關係を詳細に述べている。これ等の中でわれわれがMendel-Bechterew反射(以下M.B.反射)を檢査するにあたつて,特に知つて置かねばならないものがある。即ち,distaler Reflex (Markow反射)である。このものは別名Pseudo-Mendel-Bechterewとも又interossealer Reflexともいはれて居り,その反射帶は足背遠心部でIII,IV骨間腔を叩くことによつて見られるものである。一般にM.B反射帶とこの反射帶との間には,反射運動を惹起せしめ得ない場所"unerregbarer Bezirk"がある。正常人でも足趾の外轉乃至蹠屈運動を見ることが出來るが,多くは外轉運動が大部分を占めて居り,明かに骨間筋の關與を示し,M.B.反射とは別のもので病的反射ではない。神經症とかIrritationsneuritiden,或いは健康人でも腱反射の亢進している者では著明に亢進し,その形態はM.B.反射陽性の場合とよく似ている。この反射の疏通(Bahnudng)は効果があまりないが,これに反して,長く叩いたりした場合には反射運動の減弱することはある。變性筋萎縮のときには弱くなるか消失して了うから,この反射とShukowski反射(足蹠中央部を叩くと足趾が蹠屈する反射。以下S.反射)の消失は,N. tibialisの全變性の診斷に價値があり,かゝるときの豫後はアヒレス腱反射消失と同程度に惡い。アヒレス腱反射がなくても,distaler ReflexとかS.反射があるときは,N.ischiadicusの内部の部分的傳導障碍による分離の證據であつて,豫後は良好である。膝蓋腱反射が減弱していて,これ等反射の亢進している場合は,primäre Irritations neuritidenで見られるという。
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