Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
囊胞状転移性頭蓋骨腫瘍
Cystic Metastatic Skull Tumor
青木 友浩
1
,
齊木 雅章
1
,
石崎 竜司
1
,
佐藤 岳史
1
1滋賀県立成人病センター脳神経外科
pp.260-261
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100263
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- Abstract 文献概要
症例は54歳男性。特記すべき既往はない。入院2カ月前より,左後頭部痛を自覚し悪化傾向であったため当院を受診した。頭部CTにて,後頭骨を破壊するように存在する1cm程度の腫瘍性病変が認められたため入院した。同病変は軽度の自発痛とともに,圧痛も伴っていた。採血上では炎症反応はなく,腫瘍マーカーも陰性であった。頭部レントゲン検査では,境界明瞭な骨融解性病変であった。MRIでは,左後頭部でラムダ縫合上に,T1強調画像にて内部は低信号域,周囲は等信号域で,T2強調画像では内部は高信号域,周囲は軽度高信号域の腫瘍性病変を認め,造影により辺縁部が造影を受けた。また隣接する皮下組織や硬膜にも造影効果を認めた。硬膜内への進展は認めなかった。血管造影では後頭動脈より軽度の腫瘍陰影を伴っていた。術前診断としては,囊胞状腫瘍という画像所見より軟骨腫,囊胞状髄膜腫を考えたが,自発痛を伴うことより悪性腫瘍の可能性もあった。手術は悪性腫瘍の可能性も考え,腫瘍の周囲の骨や筋肉も含めた全摘出術とした。腫瘍は易出血性であり内部はキサントクロミーな液にて満たされていた。硬膜へは直接の浸潤はなく,皮下は帽状腱膜までの浸潤であった。術中所見では,腫瘍の発生は板間層であると判断した。術後経過は順調であった。病理組織検査では大型の未分化な異型細胞が認められ,肺原発の大細胞癌の所見であった。胸部CTにて右肺に2カ所の腫瘍陰影を認め,これが原発巣と診断した。現在呼吸器科にて加療中である。
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