Japanese
English
研究と報告
青年期の高機能自閉症にみられた幻覚・妄想様状態—その症状の特徴と発生のメカニズムについての1考察
Two Cases of High Functioning Autism who Develop Psychotic-like Symptoms in Adolescence
石坂 好樹
1
,
村松 陽子
2
,
門 眞一郎
2
Yoshiki ISHIZAKA
1
,
Yoko MURAMATSU
2
,
Shinichiro KADO
2
1京都大学医学部精神科
2京都市児童福祉センター精神科
1Department of Psychiatry, Faculty of Medicine, Kyoto University
2Department of Psychiatry, Kyoto City Child Welfare Centre
キーワード:
Autism
,
High functioning
,
Psychotic-like symptoms
,
Adolescence
Keyword:
Autism
,
High functioning
,
Psychotic-like symptoms
,
Adolescence
pp.249-256
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904997
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【抄録】 思春期青年期になって幻覚・妄想様状態を呈した高機能自閉症(high functioning autism)の症例を2例報告し,このような精神病様状態の特徴とその発症の心的メカニズムを考察した。2症例が示した幻覚・妄想様状態は,体系化されることはなく,要素的であり,その出現が状況依存的であり,また幻覚や妄想の内容は特定の状況や人物あるいは過去の体験と深いつながりがあった。薬物療法,環境の調節および個人精神療法を併用することで,症状は一時的に軽快したが,困難な状況になると再発した。それゆえ,これらの病態はストレスに対する反応性の精神病状態であると考えられた。2症例にこのような症状が出現した要因として,彼らの持つ対人関係の障害や感覚異常,記憶の異常といった自閉症に固有の障害に加えて,いじめられた体験や職場での失敗の体験が関与していると考えられた。
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