Japanese
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シンポジウム がん,臓器移植とリエゾン精神医学—チーム医療における心のケア
臓器移植精神医学に関する臨床研究
Research on Organ Transplant Psychiatry
福西 勇夫
1
Isao FUKUNISHI
1
1東京都精神医学総合研究所・社会精神医学研究部門
1Tokyo Institute of Psychiatry
キーワード:
Organ transplant
,
Organ transplant psychiatry
,
Consultationliaison psychiatry
Keyword:
Organ transplant
,
Organ transplant psychiatry
,
Consultationliaison psychiatry
pp.1343-1347
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904678
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■臓器移植精神医学の歴史と欧米および日本における現状
リエゾン精神医学の概念が我が国に導入されて,はや20年以上が経過した。その間にリエゾン精神医療は急速な普及,発展を遂げ今日に至っているが,先端医療の進歩や発展に影響を受ける領域であるために,その内容は微妙な変化を余儀なくされる。周知のように,先端医療の1つである臓器移植は腎臓,骨髄だけにとどまらず,欧米では肝臓,心臓などの様々な臓器移植が多数の施設で実施されるようになっている。
米国では,リエゾン精神医学の1つとして,臓器移植精神医学(Organ Transplant Psychiatry)と呼ばれる領域が確立されている1,2,10,16)。学術的な側面としては,リエゾン精神医学の代表的な学会であるAcademy of Psychosomatic Medicine(APM)では,臓器移植精神医学が毎年のようにシンポジウムやペーパー・セッションとして取り上げられている。臓器移植精神医学という用語は,APMの学会誌であるPsychosomaticsの誌上に,1990年にWolcott16)によって提唱されたのが最初であると言われている。米国では,臓器移植はかなり以前から精力的に試みられているが,臓器移植医療にリエゾン精神科医が参与することはなんら抵抗なく行われている。今ではリエゾン精神科医が臓器移植医療に参与していないのが不思議なほどである。我が国においても,欧米のように,精神科医がかかわりを持っている総合病院が増加しているものの,米国ほどの積極的なかかわりはまだまだ少ないのが現状である。
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