Japanese
English
研究と報告
精神鑑定を行ったALDH2*1/2のアルコール依存症について
Forensic Examination of Two Alcoholic Cass with Heterozygous ALDH2*1/2 Genotype
中村 和彦
1
,
内海 剛聡
2
,
藤井 聡
2
,
三船 和史
2
,
福西 勇夫
1
,
洲脇 寛
3
,
岩橋 和彦
4
Kazuhiko NAKAMURA
1
,
Taketoshi UTSUMI
2
,
Satoshi FUJII
2
,
Kazushi MIFUNE
2
,
Isao FUKUNISHI
1
,
Hiroshi SUWAKI
3
,
Kazuhiko IWAHASHI
4
1東京都精神医学総合研究所
2三船病院
3香川医科大学精神科神経科
4麻布大学保健管理センター
1Tokyo Institute of Psychiatry
2Mifune Hospital
3Department of Neuropsychiatry, Kagawa Medical University
4Health Administration Center, Azabu University
キーワード:
Forensic examination
,
Alcoholics
,
Heterozygous ALDH2*1/2 genotype
,
Alcohol test
,
Drunkenness
Keyword:
Forensic examination
,
Alcoholics
,
Heterozygous ALDH2*1/2 genotype
,
Alcohol test
,
Drunkenness
pp.259-266
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902386
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【抄録】 アルコール関連問題で逮捕され,本鑑定が行われたALDH2*1/2の2症例について報告した。症例1は,反社会性人格障害が基盤にあり,単純酩酊下で,飲酒による軽度の抑制解除により行動化したと考えられ,症例2は複雑酩酊下で,被刺激性の亢進,激しい興奮,部分的な健忘を示したと考えられた。裁判においては症例1は単純酩酊の鑑定が採用され,完全責任能力となり,症例2は複雑酩酊の鑑定が採用され,心神耗弱と判決された。また飲酒試験の結果より,症例2はアルコール濃度が200mg/dl以下で,複雑酩酊を生じたと考えられ,不耐性のアルコール依存症の特徴を示した。異常酩酊と考えられる症例は,ALDH2の遺伝子型を同定し,アルコール不耐性の有無について,飲酒試験を行い詳細に検討すれば,飲めないにもかかわらず飲んでいるといった生活背景,人格上の問題点などが浮かび上がり,異常酩酊についてのさらなる背景が明らかになるので,鑑定時の,判断材料の1つとして,意義深いものと考えられた。
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