Japanese
English
研究と報告
放火を繰り返し系統的健忘を呈した1例
A Case Who Repeated Incendiarism And Presented Systematic Amnesia
坂西 信彦
1
,
下地 明友
1
,
宮川 太平
1
,
平田 耕一
2
,
藤田 英介
2
,
三村 孝一
2
Nobuhiko SAKANISHI
1
,
Akitomo SHIMOJI
1
,
Taihei MIYAKAWA
1
,
Kouichi HIRATA
2
,
Eisuke FUJITA
2
,
Kouichi MIMURA
2
1熊本大学医学部神経精神医学教室
2信和会城ヶ崎病院
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Kumamoto University
2Jyogasaki Hospital
キーワード:
Systematic amnesia
,
Incendiarism
,
Simulation
,
Ribot's law
Keyword:
Systematic amnesia
,
Incendiarism
,
Simulation
,
Ribot's law
pp.381-387
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904308
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【抄録】姑に対する否定的感情から放火を繰り返し,その後系統的健忘を呈した症例を報告した。Ribotの法則を用い詐病との鑑別を論じた。意識障害期,無知受動期,記憶回復期を各々2回繰り返したが,おおむね山田の臨床経過分類に沿っていた。本邦の系統的健忘7報告例と比較検討したが,本例は慢性持続葛藤期間が17年間と長く,発症年齢が39歳と高く,喪失した記憶の範囲も17年間と最長であった。反社会的行為を伴ったものは本例のみであった。健忘の対象となった中心人物は姑と考えられた。17年間にわたる姑へのうっ積した否定的感情が放火という行動に至らしめたが満たされず,精神的他殺としての系統的健忘という別の形で表出したと考えた。
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